次元の呪いとは


「次元の呪い」は、統計やデータ分析、特に機械学習とパターン認識の分野で語られる概念で、高次元のデータを扱うときに現れる一連の問題を指します。

この呪いは主に次の2つの側面から構成されます。

  1. スパース性: データの次元が増えると、そのデータをうまく表現するために必要なデータの量も指数関数的に増加します。これは、高次元空間は非常に「広大」であり、その全体を覆うためには多くのデータ点が必要であることを意味します。この結果、高次元のデータはしばしば「スパース」(空洞化)して見え、これが学習を難しくします。
  2. 距離計算の難しさ: 高次元空間では、すべての点が互いにほぼ等距離になるという現象が起こります。これは、ユークリッド距離などの通常の距離尺度が高次元では直感に反する動作を示すためで、結果として、多くの機械学習アルゴリズム(例えばk-近傍法)の性能が著しく低下します。

これらの問題を克服するための一般的なアプローチとしては、次元削減と呼ばれる手法があります。これは、データの次元を減らすことで、情報の損失を最小限に抑えつつ、これらの問題を緩和しようとするものです。主成分分析(PCA)やt-SNEなどのアルゴリズムがその例として挙げられます。