Transformerアーキテクチャとは

Transformerアーキテクチャは、自然言語処理(NLP)分野において広く利用されている深層学習モデルで、2017年にVaswaniらによって提案されました。このアーキテクチャは、従来の再帰型ニューラルネットワーク(RNN)畳み込みニューラルネットワーク(CNN)に代わる、新しいタイプのニューラルネットワークです。Transformerは、アテンションメカニズムを用いて、系列データ内の要素間の相互関係を効果的に捉えることができます。

Transformerアーキテクチャは、以下の主要なコンポーネントで構成されています。

セルフアテンション(Self-attention)

セルフアテンションは、入力系列内の要素間の依存関係を学習し、各要素の重要度を計算するメカニズムです。これにより、モデルは文脈に応じた各要素の重要度を把握し、より効果的に情報を処理することができます。

ポジショナルエンコーディング(Positional encoding)

Transformerは、RNNやCNNのような系列データの順序情報を自然に捉える構造を持っていないため、ポジショナルエンコーディングを使用して、入力データの位置情報をエンコードします。これにより、モデルは位置情報を考慮して、より正確な分析が可能になります。

エンコーダーとデコーダー

Transformerアーキテクチャは、エンコーダーとデコーダーのスタックから構成されています。エンコーダーは、入力データを特徴ベクトルに変換する役割を担い、デコーダーは、特徴ベクトルを目標データに変換します。各エンコーダーとデコーダーは、複数の層で構成されており、モデルの表現力が向上します。

Transformerアーキテクチャは、画像認識や音声認識など、他の分野の問題にも適用されており、幅広い分野でその有用性が認められています。特に、コンピュータビジョン分野では、Vision Transformer(ViT)のようなモデルが登場し、従来の畳み込みニューラルネットワーク(CNN)に匹敵する、あるいはそれを超える性能を達成しています。これにより、Transformerアーキテクチャは深層学習の分野において、多くの革新的な応用が開発されている基盤技術となっています。